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全国建設業協会会長年頭所感

令和5年 年頭所感
一般社団法人全国建設業協会
会長  奥村 太加典

 令和5年の新春を迎え、謹んで年頭の挨拶を申し上げます。
 平素は、全建の事業活動に対し格別のご支援・ご協力を賜り、深く感謝いたします。
 昨年は、新型コロナウイルス感染症の収束が見通せないなか、感染拡大防止を図りながら行動制限を緩和するなど、社会経済活動の正常化に向けた取組が進んだことにより景気の持ち直しが期待されましたが、ロシアのウクライナ侵攻や急激な円安等が物価高をもたらし、建設業においても資機材の価格高騰や品薄などの影響を大きく受ける1年となりました。
 また、気候変動の影響により近年頻発化、激甚化している豪雨や台風等の災害が、昨年も全国各地で発生し、橋や道路の崩壊などの甚大な被害をもたらしました。南海トラフ地震や首都直下地震等の巨大地震が近い将来発生することも想定されており、事前防災の重要性がより一層増しています。
 このような状況の中、地域建設業は、災害時の対応など人々の安全・安心を守る「地域の守り手」としての役割と、人々が豊かで持続可能な生活を営むために必要な社会生活基盤づくりの中心的役割を果たしていかなくてはなりません。そして、これらの社会的使命を担う建設企業は、健全でサステナブルな経営を続ける必要があり、そのためには、安定的・持続的な事業量を確保できるよう、「防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策」の確実な執行を含めた社会資本整備の着実な推進を、引き続き政府や関係機関へ広く訴えていかなくてはならないと考えております。
 昨年一部の報道で、公共事業予算の翌年度への繰越について、建設業界の引き受け能力を超えた予算を確保していることが要因であるとの誤った指摘がありましたが、これは本来当初予算で計上すべき国土強靱化予算が補正予算で計上されたこと等によるものであり、建設業界の施工余力に全く問題がないとの姿勢を引き続き示していくことも必要です。
 さらには、将来の担い手確保のため、建設業で働く人々や建設業を目指す若者が、夢と誇りをもって活躍できる希望に満ちた産業となるよう、新3K(「給与」、「休暇」、「希望」)に「かっこいい」を加えた新4Kの実現に向け、働き方改革の推進や生産性の向上等を早急に進めることも重要です。
 全建としましては、2024年4月の時間外労働の罰則付き上限規制の適用を見据えて週休2日と時間外労働の上限を年360時間以内とすることを目標としている「2+360(ツープラスサンロクマル)運動」などを通じた労働条件の改善、女性の更なる活躍に向けた職場環境の整備、ICTの活用やDXの普及促進による生産性向上、地域建設業が活躍する姿を広く社会に周知するための広報活動の強化等に積極的に取り組んでまいります。
 本年も、全建は47都道府県建設業協会並びに会員企業の皆様方と一体となり、地域建設業発展のため全力で取り組む所存でございますので、ご理解とご支援のほど何卒よろしくお願い申し上げます。
 結びに、皆様方の益々のご多幸とご健勝を祈念いたしまして、私の年頭の挨拶とさせていただきます。



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